「親のたった一つの願いは、子供の幸せ」
2、3ヶ月前のことだ。
鈴木京香さん演ずる、主人公てんの義母が
息子夫婦に大阪弁でこう言った。
「親のたった一つの願いは、子供の幸せや」
それを聞いた途端、涙がボロボロ出てきて
止まらなくなった。
自分でもびっくりしたが、とにかく胸が痛いのだ。
そのセリフが胸に突き刺さるのだ。
その後、体の奥から強烈な怒りがこみあげてきて
大きな声で叫んでいた。
テーブルを拳でドンっと叩いていた。
・ ・ ・ ・ ・
もう30年以上前になる。
小春が結婚して家を出たいと両親に話したとき
父がこう言った。
「小春だけが幸せになってはいけない」
幸せになってはいけない・・・幸せになってはいけない
・・・幸せになってはいけない・・・
それは呪文のように私の心の奥に住み着いてしまった。
そして父はこう続けた
「みんなが幸せになる道を考えよう」と。
近所の知人(少しだけ社会的地位のある人)に夫の
就職先を紹介してもらってそこに勤め
小春と夫は父の家で同居して暮らすのがいい
それでみんな幸せになれるということらしい。
その頃、夫は志望していたところに就職できて
1年がたち、さあこれからと希望に燃えていた
ところだった。
父の言う「みんなが幸せになる」と言うのは
「父と母が幸せになる」だけではないのか。
父はさらに
「小春が家を出るなら生きている意味がない
死んだ方がマシだ」とまで言った。
母はというと
「小春に見捨てられたら、私はどうやって生きて
いけばいいのよ」と連日泣き叫んでいた。
娘が結婚して家を出る、独立するのがそんなに
いけないことなのか。
結局は両親が折れる形で私たちは結婚できた。
実家から2時間ほど離れた街で新しい生活を
スタートできた。
今思うと、両親の気持ちや考えは少しも変わって
いなくて問題は未解決のままだったのだが・・・
・ ・ ・ ・ ・
「親のたった一つの願いは、子供の幸せ」
小春が母親として自分の子供たちのことを考えると
ほんとその通り、その言葉の通りだ。
子供たちは既に独立しているが、幸せに暮らしていて
くれれば、もうそれだけで小春はものすごく幸せだ。