姫野カオルコ「謎の毒親」を読み終わった
◇◇ 親の生きてきた時代を考える
小春の両親は昭和ヒトケタ生まれだが
おそらく「謎の毒親」のヒカルの両親も同じ年代だろう。
小説の中にも出てくるが、時代の影響は大きい。
両親の子供から思春期時代は戦争中。
受けてきた教育は今とは全く違っただろう。
家父長の言うことは絶対だった時代。
貧しくて子供はその家の労働力だった時代。
そういう時代の影響が大きいのは理解できる。
そして今では死語かもしれないが「謙譲の美徳」と言う言葉。
一昔前は、自分の身内を人前で褒めたり自慢するのは
はしたないと考えられてきた。
だから愚妻とか愚息という言葉があったのだろう。
今でも、人に手土産を渡す時に
「つまらないものですが・・・」などと言ったり
食事に招待して「お口に合わないものですが・・・」
などと、大げさにへりくだる人もいる。
ヒカルの親が彼女をけなしてばかりいたのは
その影響があるのでは?と書かれていた。
確かに自分の両親のことを考えてみると
その傾向はかなり強い。
でもでも人前では仕方ないとしても、家族だけの時は
少しくらい褒めてくれても良かったのじゃないかと思う。
最近の褒める育児とは真逆だ。
◇◇ 物理的距離をおく
毒親関連の本を読んで必ず出てくるのが
とにかく親と物理的距離をおきなさいと言うこと。
ヒカルは大学進学で家を出た。
その後、介護のため新幹線で頻繁に通ったらしいが
そのあたりのことはこの本には書かれていない。
別の小説として書いているようなので
ぜひ読んでみたい思う。