人生 ああ鱈腹味わいたい

毒親疑惑の親が高齢になりまして・・・

最後の言葉

母が入院して数ヶ月が過ぎた。

もう積極的な治療はできず

痛みを取ることがメインになっていた。

 

そんなある日の母は機嫌が悪かった。

手を握ったり、体をさすったりしても

怖い顔で睨む。

そして妙にはっきりした声で言う。

 

「ぜんぶ小春が悪いんだ。

何もかも小春のせいだ。」

 

自分(母)がこんな不幸になったのは

小春のせい。

小春が自分の希望通りにしてくれなかった

せい。家を継いで、一緒に暮らし、

ちゃんと世話をしてくれていたら

自分はもっと幸せになれていたはずだ。

 

そう言っているように思えた。

 

   ***********

 

その夜、なかなか寝付けなくて考えた。

ああ、母らしい言葉だなあと 思った。

 

お母さん

幸せは誰かが持ってきてくれるものじゃ

ないの。

自分で探して、見つけて、なるものなの。

 

誰かが自分を幸せにしてくれると思って

いる間は幸せにはなれない。

だって、人は自分の思い通りにはなら

ないから。

人にはその人の思いがあるのだから。

 

だから、人に幸せにしてもらおう、

自分の思い通りにしてもらおうと思って

いたら、一生、人への不満を言い続ける

ことになる。

不幸な人生で終わってしまう。

 

自分を幸せにできるのは自分しかいないの。

わかってお母さん。

 

そんなことを布団の中で思った。

 

実は私も、母と同じことをしていた頃が

あった。夫が私を幸せにしてくれないと、

不満ばかり言い続けて離婚寸前までいった。

 

幸いなことに、上に書いたようなことに

気づいて、自分の生活を見つめ直したら

幸せの種がいっぱい見つかって、感謝の

気持ちでいっぱいになった。

人生が好転するとはこういうことなんだと

感じた。

 

とは言うものの、今ブログで親への不満を

書きまくっていて、偉そうなことは言え

ないけど。

 

 

     ***********

 

その翌日、母は息をひきとった。

 

「ぜんぶ小春が悪いんだ。

何もかも小春のせいだ。」

 

これが最後の言葉となった。