20代の娘の部屋を母が勝手に掃除する
短大を卒業してOLだった頃の話だ。
小春の部屋に無断に入るのはやめてほしい
と言っても母はやめなかった。
■ ジグソーパズル事件
その頃、ジグソーパズルにはまっていた。
何千ピースもの大きなものに取り組んでいた。
会社から帰って、夜のひとときに少しずつ
作って行くのが楽しみだった。
8割ほどできあがった、ある日帰宅して
部屋に入ると、ジグソーパズルがない!
嫌な予感がして、パズルの箱を開けると
バラバラにされたピースがぎっしり詰まって
いた。母にちがいない。
あと少しで完成だったのに、どうしてこんな
ことするのと怒ると、
「ずーっと床の上に広げっぱなしにしていた
から片付けてあげたのに、何言ってるの」
という言葉が返ってきた。
ジグソーパズルを知らないとしてもだ・・・
絵が出来上がりつつあるのは、見ればわかり
そうなものだ。
■ 本棚掃除 事件
私が出かけている間に、母が本棚の掃除を
してくれたらしい。
たしかに棚のほこりが綺麗に拭き取られていた。
でもでも、並んでいた本が・・・
上下さかさまだったり
背表紙が奥を向いていて、手前は白いお腹側
しか見えてなくて、何の本かわからない。
友達に話したら、本を読まない人には
向きなんてどうでもいいからじゃない?
と言われた。
母が本を読んでいるのは見たことがない。
おそらく図書館や雑誌売り場じゃない書店
にも行ったことがないと思うから、本の
並べ方を知らないだけ?まさか。
そのほかにも、スーパーで買ってきたお菓子を
何個も入れた袋がなくなっていたり、
洗濯した小物を入れていた紙袋がなくなったりした。
母にきくと、ゴミだと思って捨てたと言う。
だから、勝手に小春の部屋に入らないで!と
何度も言ったのだが、私が部屋を綺麗にして
おかないからだと反撃された。
■ 着物の仕立てに真っ黒な鉛筆を使う
母が仕立ててくれた着物を持って着付教室に
行った。普段に気軽に着れる小紋の着物だ。
先生がその着物を受け取って準備を始めた。
先生2人が何やら話しながら、私の方を
チラチラ見ていた。
あとでその着物を見て理由がわかった。
着物を縫う時、普通はヘラを使って縫い代の
印をつける。目立たないようにだ。
ところがその着物は、よく見ると・・・
黒の鉛筆で点々と印が付けられていた。
それも2Bくらいの真っ黒な強烈な存在感
のある鉛筆だった。
先生達もびっくりしただろう。初めて見たに
ちがいない。
私は恥ずかしいやら、悲しいやら・・・
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ここまで一気に書いたが、さすがにこの記事は
公開しようかどうか迷う。
ジグソーパズルの話なら笑い話で済むが。
なんだか母がかわいそうに思えてきて、
胸が痛む。